君がオレのdestiny ・ 第三話



「ようやく会える・・・」
 兄キの言った言葉が思い出された。

 兄キはあれほど青龍の巫女を探し、慕い続けていたのに、結局会うことはかなわなかった。
 兄キがいない今となっては、兄キがあんなに切望していた青龍の巫女を護るのは、残されたオレの使命だ。
 兄キの分までも青龍の巫女を護らなくてはいけない。
 オレは女にはいい思い出なんかない。
 でもオレは兄キの意思を継がなくてはいけない。
 それが今のオレにできる唯一のことだ。

 青龍の巫女------。

 どうせみんな兄キみたいな優しい男がスキなんだろ。
 がさつなオレなんてお呼びでない・・・。
 青龍の巫女だって女なんだ。
 どうせオレなんか嫌われるのがオチだろう。

 そう思ってた。

 でも兄キ以外で初めて優しくしてくれた。
 オレを抱きしめてくれたのは、異性ではこれまで母さん以外いない。
 オレに優しさをくれた女性は、母さん以外では唯様が初めてだ。
 女に対して忘れかけてた感情だった。

「唯様か・・・」
 昨日のことを思い出して一人赤面した。
 ・・・と、ちょっと待て。・・・オレ・・・昨日、そんな唯様に・・・・・・。


---うるせぇっ!お前なんかに・・・わかるもんか!!---


 顔面蒼白とは、まさにこの事だと今実感した。


 オレ・・・昨日、いくら兄キが死んで気が動転してたからって・・・唯様になんてことを言ったんだ。
 しかも慰めてくれようとした彼女対して!!
 「唯様を呼んできてくれ」って・・・あんな暴言を吐いたオレは、どんな顔して彼女に会えばいいんだよ!?
 心宿さん、ひょっとして昨日のこと知ってて、わざわざオレに唯様を呼びに行かせたのか?
 ・・・いや・・・それは考えすぎだよな。
 あの心宿さんにかぎって・・・。

 そうだな・・・謝れば唯様もきっと許してくれる。


 ・・・謝ろう。


 それが先だ。
 唯様に会ったらまず謝らなくては。
 昨日の非礼を詫びなくては!




・・・