君がオレのdestiny ・ 第二話



 今まで男だらけのとこで生活してきたオレにとって、女には縁がなかった。
 それでなくても女にはいい思い出がないから、自分から倦厭していたのも事実だ。

 そもそもオレの女嫌いは、幼い頃預けられた家にいた女たちから始まった。
 あの頃、今では考えられないほど病弱で気弱だったオレは、いつもその女たちにいじめられて生活してきた。
 毎日繰り返される陰湿な言葉、蔑み。
 何度逃げ出したいと思ったことか。
 でもそれはどだい無理な話だった。
 自分の非力さに怒りを覚えたほどだった。

 でもその時は兄キがいた。
 兄キがいてくれたから、あんなどん底の生活の中でもやってこれた。
 兄キがいてくれる。 だから、兄キと一緒だから、こんな生活にも耐えよう。
 そう思っていた。

 しかし、12歳の春。
 突然兄キがいなくなった。
 なぜいなくなったかはこないだ3年ぶりに再会した時に知らされたけど、知らなかった3年間、
オレはずっと兄キを憎んでいた。 その怒りを生きる糧にしていたといっても過言ではない。
 あの日オレを置いていくのに、兄キがどれだけ悩み苦しんで、やっと決心できたのか。
 あの時のオレにはわからなかった。
 ただ単純に自分は捨てられたんだと思いこんでいた。
 だから自分を置いて逃げた兄キを、裏切った兄キが許せなかった。

 でも今なら兄キの気持ちが理解できる。
 でももう遅い…。

 オレは自分が恥ずかしかった。
 知らないくせに、知らなかったから、オレは兄キを本気で恨んでいたんだ。
 あの時どうして兄キを信じてやれなかったんだろう。
 あの時どうして兄キの気持ちを考えようとしなかったんだろう。
 たった一人の大切な肉親をどうして信じてやれなかったんだろう。

 そんな自分が情けない。
 兄キを恨み続けた3年間を消し去りたい。

 だからオレは再会したあの時誓ったんだ。
 これからはなにがあっても兄キをずっと信じ続けると。

 しかし…。 
 そんな兄キももういない…。

 なんでオレたち…双子なのに、一番近い存在のはずなのに、いつも一番遠いところにいるんだろう。
 兄キ…なんで死んじゃったんだよ。
 オレたち、これからずっと一緒だって誓ったじゃねぇか…。
 その矢先だったのに……。


「兄ちゃん……」




・・・