いつまでも、ずっと…
作:NO.013 くみこさん



「角宿は唯様のためだけにいるのです。どんなときも・・・愛してます、唯様・・・愛してます・・・」
「角宿、どした・・・角宿? 角宿、角宿ー!!」
 唯を守り、亢宿、そして角宿の2つめの命は消えた。
 気がつくと、隣に亢宿がいた。
 いつもと変わらない、自分に向けられる笑顔がそこにはあった。

 今唯は、玄武の巫女となり、神獣を呼び出そうとしている。
(唯様、大丈夫。俺達がついています。唯様なら絶対大丈夫です。)
 2人は唯の心を支えていた。唯はそれを感じた。
 そして召喚に成功し、3つの願いを告げた唯のもとを、角宿・亢宿は離れた。
(兄貴・・・ごめんな、兄貴までこんな・・・)
(いいんだ、角宿のことを思い出して、またこうして会えたんだから)
(ありがとう・・兄さん・・・)
 角宿の目から涙がこぼれ落ちた。
(角宿、生まれ変わっても、ずっと一緒にいような)
(ああ、今の記憶がなくても、心はいつもつながってるよな、俺達)
(また会おう、角宿・・・)
(兄さん・・いつかきっと、一緒に・・・)

 ここは中国のある小さな村。
 そこに住む武夫婦のもとに、2つの小さな命が生まれた。その双子は、兄・亢徳、弟・俊角と名づけられた。
 武夫婦は生まれて間もない2人を連れて日本に移り住むことにした。
 大きくなるにつれて2人の性格が別れてきた。
 兄は温厚で優しく、弟をとても大切に思っている。
 弟は喜怒哀楽が激しく、兄のことになると、周りが見えなくなってしまうところがある。
 そう、この双子は昔、15歳で命を落とした、亢宿と角宿の転生した姿。記憶はないが、
姿形、性格全てが亢宿、角宿だったのだ。

 数年後、彼らは15歳の誕生日を迎えた。
 その日2人に、今までにない頭痛が・・・。
 その間に、いくつもの映像が頭の中に流れてくる。
 しばらくすると頭痛はおさまり、2人は顔を見合わせた。
 その時亢徳が「角宿・・・やっと、やっと会えたね・・・」そう言った。すぐに角宿は反応した。
「兄さん・・・兄さん!」
 2人はこの日思い出したのだった。
 自分達は青龍七星士の亢宿・角宿だったこと。青龍の巫女のために命を失ったこと、全てを・・・。
 彼らは再会することができた。長い長い時を経て・・・。

 3月、ある高校へ進学することが決まった。
 そこにどんな出会いがあるが知らず、ただ、新しく始まる生活を楽しみにしていた。

 そして4月。
 四ツ葉台高校の入学式。2年生になった2人組がいた。
「美朱〜!早くしないと遅刻するよ!!」
「ま、待ってよぉ唯ちゃん」
 兄弟は見た。
(あの2人は・・・)
 美朱と呼ばれている方に亢徳は、「おはようございます、美朱さん。お久しぶりです」と話しかける。
 美朱は誰だか気づくまでに時間がかかる・・・。俊角はというと、急な出来事に言葉が出ない。
「ゆ、唯・・・様?」 やっと出した声。
 唯は・・・「角宿・・・?角宿だね!?じゃあそっちにいるのは」
「亢宿です、唯さん」
「え、えぇ〜〜〜!?」
「美朱、あんた反応が遅い・・・」
 混乱しながらも美朱は質問をした。「な、何で2人がこの高校にぃ!?」
「転生したんです、僕達。今日この学校に入学します」
 亢徳はにこっと笑いながら答えた。
 すると唯が聞く。
「2人の今の名前は?」
「武 俊角です。でも角宿と呼んでください!」
「武 亢徳です。僕も亢宿でいいです」
 2人は答えた。

 今までつらいことは数えきれないほどあった。悲しいことも・・・
 でも今の角宿には亢宿や唯がいる。1人じゃないから、大丈夫・・・。
 これからどうなるのだろう・・・?どんな未来が待っているのだろう・・・?
 それは彼らにしかわからない。いや、彼らにだってわからない。
 私達は知らなくてもいいのかもしれない。
 ただ彼らを見守っていけば、いいのかもしれない・・・。