記憶


---今でもかすかに覚えてる
---誰かが僕を呼んだ声を・・・

------「・・・アミボシ・・・」



僕は磨汗村で生まれ、そこで育ってきた
いつだったか、村が大イタチの被害に遭ったとき、僕は退治に行ったんだ
その時くらいに、一人の女の子が家に来た

そういえば、彼女の名前はなんだったろう・・・
顔はあんなにも覚えているのに、名前だけはどうしても思い出せない
それに、その時のことを思い出そうとすると、必ず途中で何かにひっかかる
そして・・・その後のことはなにも・・・覚えていない

気づいたら自分の部屋にいた
彼女の姿も、もうなかった
そして、倶東軍が村を襲ったことを父さんから聞いた
なぜ倶東国はこんな小さな村を襲ったんだ?
それまでは平和に暮らしていたのに
僕たちは、倶東国に狙われるようなことはしていないのに!

その時・・・僕の記憶がない部分には、一体なにがあったんだろう
その時・・・僕はどこでなにをしていたんだろう
なぜ思い出せないんだろう
それとも、単なる夢だったんだろうか?



・・・彼女は誰だったんだろう
どこから来て、あのあとどこに行ったんだろう

何だかとても悲しそうな顔をしていた
それなのに、それがなぜなのか僕にはわからない
彼女の悲しみをわかってあげたかった
彼女を苦しみから救ってあげたかった
でも僕は非力だ
彼女になにもしてやれなかった


---「アミボシ」---
それは僕のことだったのか?
そして・・・そう言ったあの声は・・・・彼女のものだったのだろうか?


亢宿が完全に「懐可」となったという設定です。
「懐可」は記憶喪失前後のことを覚えているのか?
自分の以前の記憶がないことを自覚しているのか?
そこらへん原作では曖昧だったので、いろいろ想像してみました。